透析療法の概要と看護師の役割
人工透析は、腎臓内科や腎臓・人工透析内科などの診療科において、実施されている治療法だ。
透析看護師として働く場合、透析室にて専門性の高い業務をこなす必要がある。
病棟勤務やクリニック等の外来業務とは、全く異なった仕事になるため、参入する際はきちんと内情を調べておくのが望ましい。
そこで以下では、透析療法の概要や看護師の役割を総ざらいしたいと思う。
そもそも腎臓は、赤血球の生成を促すほか、老廃物の排泄機能としての役割も持っている。
もし腎機能が低下すると、血圧の調節や体内のミネラルバランスなどが保てなくなり、結果的に貧血や高血圧、心不全のリスクが高まってしまう。
そこからさらに腎機能が低下すれば、尿毒症を引き起こし、死に至ることもある。
そんな重要な役目を果たしている腎臓は、一度機能が低下してしまうと、回復しにくいといわれている。
慢性腎不全になってしまうと、そこから回復するのは不可能とされており、生命線として透析療法を余儀なくされてしまうのだ。
透析療法は、末期腎不全の患者が受ける腎代替療法のひとつだ。
腎臓に代わり透析機器を使い、人工的に血液中に含まれた余分な水分や老廃物を取り除き、血液をきれいな状態にする治療だ。
とはいえ、この治療は腎臓の働きの一部を補うものであり、腎機能を100%代行しているわけではない。
よって、透析療法と並行し、食事管理や服薬も必要となる。
透析療法には、血液透析と腹膜透析とに分かれる。
血液透析は透析室のベッドに寝て、透析機器と自身の血液を管でつないで治療するメジャーな方法だ。
利き腕と反対の腕の手首に、シャントと呼ばれる太い静脈を形成し、そこに管をつないでろ過することになる。
1週間のうちに2~3回受けなければならず、約4時間程度かけて血液を浄化するため、当然ながら拘束時間は長くなる。
一方、お腹の中に透析液を入れ、血液を浄化する腹膜透析という方法もある。
こちらは血液透析とは違い、自宅で治療をすることが可能であり、拘束時間も約30分程度と短い。
身体への負担が少ないことでも知られ、メリットが多いように感じるが、向き不向きはある。
というのも、常にお腹からチューブが出ている状態であり、敏感な人からすれば大きな違和感になるからだ。
そこからの感染リスクもあるため、入浴・排泄などを含む日常生活において、入念に注意を払わなければならない。
透析看護師になった場合、透析室での機械操作や患者の観察の業務が中心となる。
同時に、患者の生活に関するヒアリングやカウンセリングを行い、栄養士や医師へ情報を橋渡しする役目も担っている。
そんな現場の仕事に興味が湧いた看護師は、透析クリニックの内情を細かく調べてみてほしい。